2051年07月17日
池上彰のわかる「テニス世界ランキング」
池上「今日は、テニスの世界ランキングについて皆さんと一緒に勉強していきたいと思います。ただ、今回は話を簡単にするために男子のランキングについてご紹介します。といっても男子も女子も基本的な仕組みはおんなじです。」
池上「現在、男子テニスの世界ランキングは『ATPワールドツアー』、という名称でATP(男子プロテニス協会)という団体によって組織されています。ニュースや試合の中継なんかで『世界ランク1位』というような言葉を耳にすることがあるかと思いますが、あれは『ATPワールドツアーのランキングが1位ですよ~』という意味なんですねぇ。」
\へぇ~~/
池上「ちなみに、土田さん、歴代の日本人選手で最高ランキングは誰だと思いますか?」
土田「うーん、まさかあの男じゃないですよね?笑」
上原美優「あ、松岡修造さん!!」
池上「上原さんその通り!男性ではあの松岡修造さんが、最高位の世界ランク46位を記録しているんですねぇ。」
ひとり「女性だと、最近復帰した伊達さんなんじゃないですか?」
池上「さすがひとりさん、その通り!女性では伊達公子さん、現在は旦那さんの名前でクルム伊達公子さんとおっしゃいますが、彼女の4位というのが最高位なんですねぇ。」
土田「で、その世界ランキングっていうのはどうやって決まるんですか?」
池上「良い質問ですねぇ!それでは、実際どうやってランキングが決まっているのかを一緒に見ていきましょう。簡単な画像をググってきました。」
上原「ピラミッドみたい!」
池上「はい、これは大会のグレードを分かりやすく図にしたものです。まさに上原さんがおっしゃったとおり、ピラミッドのような形をしていますよねぇ。これは、上に行けばいくほどグレードの高い大会、つまり多くのトッププレイヤーが参加しますから、それだけ優勝するのも難しい大会ですよ~、ということになります。」
池上「一番上をみてください。『グランドスラム』とあります。日本では『四大大会』なんて言い方もしますが、全豪、全仏、全英、全米この4つの大会のことを指します。」
ひとり「全英ってのは、あれですよね、ウィンブルドンってやつですよね?」
池上「さすがひとりさん、よくご存じですねぇ。そうです、この全英というのはいわゆるウィンブルドンといって四大大会の中でも最も歴史があって格式の高い大会なんです。このウィンブルドンのセンターコートでプレーするのは全テニスプレイヤーの夢でもあるんですよ。先月行われたこの全英で、日本の錦織圭選手がセンターコートでプレーされていたのをNHKでご覧になられた方も多いかと思います。」
池上「さて、話を戻しましょう。『グランドスラム』の下には『ATPマスターズ1000』とありますね。このカテゴリーの大会を『マスターズシリーズ』とも言ったりするんですが、こちらもかなり大きな大会で、ランキング上位の選手はほとんど全員出場します。さらにグレードが小さくなっていき『ATP500』『ATP250』『チャレンジャーズ』『フューチャーズ』と続きます。ちなみに10月に東京で行われる『ジャパンオープン』という大会があるんですが、こちらはこの『ATP500』に含まれます。」
土田「その1000とか500ってのはポイント的なものですか?」
池上「はい、その通りです、土田さん!大会にはそのグレードによってポイントが決められていて、グレードの高い大会ほど、また大会の上位に勝ち進むほど選手は多くのポイントを得ることができます。そしてそのポイントの合計でランキングを決めるという仕組みなんですねぇ。では、どの大会でどれくらいのポイントがもらえるのか、というのを表にしてみましたのでちょっとご覧ください。」
池上「見て頂ければだいたい分かると思いますが、例えばグランドスラムで優勝(W)すると、はい、2000ポイントが与えられる、ということです。一番上の行は左から、優勝、準優勝、ベスト4・・・となります。ではひとりさん、ATP500シリーズの大会でベスト4まで勝ち進んだとしましょう。すると何ポイントもらえるでしょうか?」
ひとり「えー、500シリーズでセミファイナル(SF)まで進んだからぁ、180ポイント、でいいんですかね?」
池上「そうですね、180ポイントです。皆さんもお分かりいただけたでしょうか?さて、選手たちはこれらのポイントの合計でランキングを競うわけですが、実はこのポイントには有効期限というものがあるんですねぇ。その有効期限は1年間で、例えば今年のウィンブルドンが終わると同時に、去年のウィンブルドンで獲得したポイントは消えてしまうんです。この有効期限によって選手のランキングがどのように変化するのか、今年ウィンブルドンで準優勝したトーマス・ベルディフ選手を例にみてみましょう。」
池上「彼は今年のウィンブルドンが始まる時点では、2825ptでランキングは13位でした。彼は去年この大会で4回戦まで勝ち進んでいました、その時に得た180ptは有効期限が切れてしまいましたので失うことになります。しかし今年大活躍し準優勝しましたので1200ptも獲得することができました。ですので、彼のポイントはこのように変化します。」
2825
- 180
+ 1200
―――
= 3845pt
一同「なるほど~~」
池上「結果として差し引き1020ptを獲得し、彼のランキングは13位から8位にジャンプアップしたんですねぇ。このようにポイントが常に増減しつつ世界ランキングというものが決まるわけなんです。」
ひとり「でもじゃあ、例えば去年優勝したけど今年は全然ダメだった、なんてことになると一気にランキングが下がっちゃうってことですよね~?」
池上「良いところに気づきましたねぇ、そうなんです!1つの大会でたまたま調子が良くて優勝したとしても、来年にはそのポイントは消えてしまうわけです。ですから、フェデラー選手やナダル選手のように常にトップに居続けるためには、年間を通してコンスタントに大会で勝利し続けなければいけないということになります。」
\へぇ~~~/
(つづく 後編はコチラ)
池上「現在、男子テニスの世界ランキングは『ATPワールドツアー』、という名称でATP(男子プロテニス協会)という団体によって組織されています。ニュースや試合の中継なんかで『世界ランク1位』というような言葉を耳にすることがあるかと思いますが、あれは『ATPワールドツアーのランキングが1位ですよ~』という意味なんですねぇ。」
\へぇ~~/
池上「ちなみに、土田さん、歴代の日本人選手で最高ランキングは誰だと思いますか?」
土田「うーん、まさかあの男じゃないですよね?笑」
上原美優「あ、松岡修造さん!!」
池上「上原さんその通り!男性ではあの松岡修造さんが、最高位の世界ランク46位を記録しているんですねぇ。」
ひとり「女性だと、最近復帰した伊達さんなんじゃないですか?」
池上「さすがひとりさん、その通り!女性では伊達公子さん、現在は旦那さんの名前でクルム伊達公子さんとおっしゃいますが、彼女の4位というのが最高位なんですねぇ。」
土田「で、その世界ランキングっていうのはどうやって決まるんですか?」
池上「良い質問ですねぇ!それでは、実際どうやってランキングが決まっているのかを一緒に見ていきましょう。簡単な画像をググってきました。」
上原「ピラミッドみたい!」
池上「はい、これは大会のグレードを分かりやすく図にしたものです。まさに上原さんがおっしゃったとおり、ピラミッドのような形をしていますよねぇ。これは、上に行けばいくほどグレードの高い大会、つまり多くのトッププレイヤーが参加しますから、それだけ優勝するのも難しい大会ですよ~、ということになります。」
池上「一番上をみてください。『グランドスラム』とあります。日本では『四大大会』なんて言い方もしますが、全豪、全仏、全英、全米この4つの大会のことを指します。」
ひとり「全英ってのは、あれですよね、ウィンブルドンってやつですよね?」
池上「さすがひとりさん、よくご存じですねぇ。そうです、この全英というのはいわゆるウィンブルドンといって四大大会の中でも最も歴史があって格式の高い大会なんです。このウィンブルドンのセンターコートでプレーするのは全テニスプレイヤーの夢でもあるんですよ。先月行われたこの全英で、日本の錦織圭選手がセンターコートでプレーされていたのをNHKでご覧になられた方も多いかと思います。」
池上「さて、話を戻しましょう。『グランドスラム』の下には『ATPマスターズ1000』とありますね。このカテゴリーの大会を『マスターズシリーズ』とも言ったりするんですが、こちらもかなり大きな大会で、ランキング上位の選手はほとんど全員出場します。さらにグレードが小さくなっていき『ATP500』『ATP250』『チャレンジャーズ』『フューチャーズ』と続きます。ちなみに10月に東京で行われる『ジャパンオープン』という大会があるんですが、こちらはこの『ATP500』に含まれます。」
土田「その1000とか500ってのはポイント的なものですか?」
池上「はい、その通りです、土田さん!大会にはそのグレードによってポイントが決められていて、グレードの高い大会ほど、また大会の上位に勝ち進むほど選手は多くのポイントを得ることができます。そしてそのポイントの合計でランキングを決めるという仕組みなんですねぇ。では、どの大会でどれくらいのポイントがもらえるのか、というのを表にしてみましたのでちょっとご覧ください。」
池上「見て頂ければだいたい分かると思いますが、例えばグランドスラムで優勝(W)すると、はい、2000ポイントが与えられる、ということです。一番上の行は左から、優勝、準優勝、ベスト4・・・となります。ではひとりさん、ATP500シリーズの大会でベスト4まで勝ち進んだとしましょう。すると何ポイントもらえるでしょうか?」
ひとり「えー、500シリーズでセミファイナル(SF)まで進んだからぁ、180ポイント、でいいんですかね?」
池上「そうですね、180ポイントです。皆さんもお分かりいただけたでしょうか?さて、選手たちはこれらのポイントの合計でランキングを競うわけですが、実はこのポイントには有効期限というものがあるんですねぇ。その有効期限は1年間で、例えば今年のウィンブルドンが終わると同時に、去年のウィンブルドンで獲得したポイントは消えてしまうんです。この有効期限によって選手のランキングがどのように変化するのか、今年ウィンブルドンで準優勝したトーマス・ベルディフ選手を例にみてみましょう。」
池上「彼は今年のウィンブルドンが始まる時点では、2825ptでランキングは13位でした。彼は去年この大会で4回戦まで勝ち進んでいました、その時に得た180ptは有効期限が切れてしまいましたので失うことになります。しかし今年大活躍し準優勝しましたので1200ptも獲得することができました。ですので、彼のポイントはこのように変化します。」
2825
- 180
+ 1200
―――
= 3845pt
一同「なるほど~~」
池上「結果として差し引き1020ptを獲得し、彼のランキングは13位から8位にジャンプアップしたんですねぇ。このようにポイントが常に増減しつつ世界ランキングというものが決まるわけなんです。」
ひとり「でもじゃあ、例えば去年優勝したけど今年は全然ダメだった、なんてことになると一気にランキングが下がっちゃうってことですよね~?」
池上「良いところに気づきましたねぇ、そうなんです!1つの大会でたまたま調子が良くて優勝したとしても、来年にはそのポイントは消えてしまうわけです。ですから、フェデラー選手やナダル選手のように常にトップに居続けるためには、年間を通してコンスタントに大会で勝利し続けなければいけないということになります。」
\へぇ~~~/
(つづく 後編はコチラ)